2007年度懸賞論文・文芸作品コンクール受賞者

 論文●佐野 準さん ― 中国の「格差」「環境」問題に迫る

 文芸●伊藤 彩さん ― 「懐かしい映画のひとコマのよう」

   ▲入賞者と審査員のみなさん

 「懸賞論文と文芸作品コンクール」(学生部主催)2007年度の入賞者が決まり、表彰式が12月3日、生田キャンパスで行われた。入賞者には嶋根克己学生部長から賞金、賞品が贈られた。
 最高賞である鳳賞は、「懸賞論文」部門が国際経済学科の佐野準さん、「文芸作品」部門は大学院生の伊藤彩さん。
 
 佐野さんは、現在の中国が持つ深刻な経済格差や環境問題について探求した。2005年に上海、06年に北京を短期留学プログラムで訪れた。高層ビルが建ち並び、著しい経済発展を目の当たりにする一方、町にはボロを身にまとい物乞いをする人が多いことにショックを受けた。 「今後、中国は量から質への転換が可能か。その最適なシナリオは何かを考えてみました」。ゼミ指導の室井義雄教授に勧められての応募。「経済学的アプローチで貧困を学んだことがベースになりました」と語っている。
 
 伊藤さんの作品は、9歳になる少女と少年が、家族も仕事も持たない「おいちゃん」と織り
成す心の交流を、夏の夜の情景とともに描いた。「懐かしい映画のひとコマを見るようだ」
(柘植光彦教授)、「文章力が秀でている。エピソードの組み立てがうまい」(小林恭二
教授)など、審査員一致で決まった。 「以前から児童文学に興味を持っていて、小説の
背景は自然と生まれました」。小林教授を指導教授に文学の研究をしている。「書くことを
意識すると、読み方が変わってくるから面白い」と語る。

  入賞者と作品名

 (敬称略)

 ●懸賞論文 

 〔鳳賞〕
   ▽佐野準(経済4)「中国における『持続可能な発展』について―改革・開放政策
            がもたらした『負の遺産』への対応―」
 〔優秀賞〕
   ▽尾崎弘之(経済4)「共生を目指して〜アイヌから学ぶ〜」
   ▽菅裕実子(経営3)「国際社会の動向から読み取る 理想的人間像の変化」
   ▽古農幸江(経済3)「グラミン銀行〜貧困なき世界に向けて〜」
 〔佳作〕
   ▽板倉沙織(経済4)「マサイアクセサリーの減少は、スラム人口を増加させる」
   ▽大久保祐介(経済4)「外国人労働者に対する意識改革」
   ▽小川信一郎(文3)「関東地域に残る高句麗渡来氏族の足跡と現代日本」
   ▽小池裕佳(経済4)「社会的弱者〜知的・身体障害者との体験から〜」
   ▽中尾香耶(文3)「都市景観から見えるもの―騒色の街のアイデンティティー」

 ●文芸作品

 〔鳳賞〕
   ▽伊藤彩(大学院文修1)「夏の宵」 
 〔優秀賞〕
   ▽引野勉(文3)「空を砕く」
   ▽長谷川潤(文4)「東三田小雨」
   ▽菅原敦子(文3)「花どろぼう」
   ▽河野有美(二部法3)「あの日に向かって」
 〔佳作〕
   ▽吉井知行(文3)「変声期」
   ▽鈴木俊恭(文2)「目玉蟹」
   ▽皆川香織(文3)「ビター イン ミルクコーヒー」