2005年夏合宿:ディベート(2)移民受入れ


  移民受入れ:肯定派立論

 ●メンバー
    4年:内田将士田辺美佳・松平香寿紀
    3年:青木梨奈・近藤理恵・後藤奈緒美
    2年:板倉沙織小山佳彦・菊池雄一朗

 <定義
   ・移民:労働目的で日本にやってくる外国人。日本に来て定住する人、働いた後帰国する人
      どちらも含む。

   ・高齢化社会:全人口に占める高齢者の割合が7%に達した時点で高齢化社会と呼ぶ。
   ・高齢社会:全人口に占める高齢者の割合が14%に達した時点で高齢社会と呼ぶ。

  <プラン>
    ・日本は移民を受け入れるための環境を整えて、段階的に、人数を制限して移民を
   受け入れ
る。
   ・日本は、現地に移民が日本に来て働くための知識や技術を身につけるための学校を作

    る、そのような専門知識を身につけた人を日本に入れるルートを確立する、移民に対して

     基本的人権を尊重し、標準的な社会保障を与えるなどの方法を取り、それによって
    犯罪の
リスクなどを削減していく。

  <このプランから発生するメリット
    @ 生産年齢人口が増える。
    A 移民によって、日本の需要と供給が増え、経済成長にとってプラスになる。
    B 移民によって新しい産業が生まれる。
    C 移民が日本に定住するようになると、税収が増え、人口の減少による税収の減少を
    緩和できる。


 ・このプランを導入すると、移民が増加する。すると、日本の人口も増加する。労働目的で
   日本に移民が入ってくると、日本の労働力が増える。すなわち生産年齢人口が増える。
 ・こ
こで上記に述べたメリット@が発生する。労働力が増えるということは、単純に考えて、
   供給が増えるということにつながる。
 ・また、日本にやってきた移民が、日本で生活するた
めに、生活に必要なものを購入する。
  そうすると日本の需要が増える。供給と需要が増え
ることは、日本の経済成長にプラスにな
  る。これがメリットAである。
 ・また、現地に、移
民が日本に来て働くための知識や技術を身につけるための学校を作り、
  そこで日本人を働
かせることで日本人の雇用が生まれるし、そういった移民のための教育
  や移民を支援する
活動によって新しい産業が生まれる。これがメリットBである。
 ・プランで述べたような環
境整備によって移民が日本に定住するようになり、税金を納める
  ようになると、日本の税
収もアップする。これがメリットCである。

  <メリットの重要性
   ・日本の総人口は、2006年の12774万人をピークとして減少に転じると予測されてお
    り、2050年にはおよそ1億人、2100年にはおよそ6400万人にまで減少すると見込ま
   れている。

  ・また、日本では、高齢社会の進展が叫ばれている。この先の高齢化のスピードは予想以上に
  なっており、先進各国を遥かに凌いでいる。
2040年には3人に1人が高齢者という状況が予
  測されている。
 ・高齢化社会から高齢社会へ進展するのに要した年数を見ても、高齢社会で有名なスウェー
  デンですら
82年かかっているのに対し、日本では1970年に高齢化社会を迎え、すでに1994
  年には高齢社会へ突入、わずか
24年というスピードである。
 ・そして高齢化と並んで進んでいるのが、出生率の低下、つまり少子化であるが、こういった
  人口の減少や高齢化は、労働力人口に影響を与える。労働力人口は、
2005年に6772万人で
  ピークを迎えるが、その後は減少に転じ、
2025年には6296万人とピーク時から7%減少する
  と推計されている。
 ・また、労働力の高齢化が同時に起こるため、労働力人口に占める
60歳以上の割合は、1990
  の
1.5%から200514.9%を経て、2025年には19.6%となり、労働者の5人に1人が60
  以上になる見通しである。
 ・少子化に備えて計画的に移民政策を推し進めて経済の活性化を図ってきたアメリカは、将来
  生産年齢人口が増加する傾向にある。特殊技能保持者や投資家、中高年資産家などを対象と
  して移民受け入れを行っているカナダ、オーストラリア、ニュージーランドでも人口は増加
  していく。

  ・このままいけば、日本が少子化と高齢化によって労働力不足に陥ることは明らかである。労
  働力不足によって経済成長が鈍り、消費税や所得税の減収で財政が悪化する。優秀な移民を
  受け入れて、労働力不足を解消しなければ、日本経済はとてつもない痛手をこうむることに
  なるのである。


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 移民受入れ反対(現状維持)

 ●メンバー
  4年:山中文章宮原真希・小池あゆ子
  3年:小野舞子・村松愛藤巻伸悟
  2年:
尾崎弘之・矢沢知樹渡辺慶人

 <主張>

 ・労働力の不足を、移民によって補うという考えは、女性及び高齢者の社会進出
  の可能性を奪うものである。

 <デメリット>
 
  1.子どものアイデンティティが確立できない
  2.日本の文化・意識と外国人への抵抗
  3.女性の就業率の低下は出生率の低下へと繋がる

 ・日本で産まれて日本で育ったのに日本国籍を取れないという現状。その上、本
  籍のある国のことなど全く知らないし足を踏み入れたこともないという子ども
  が誕生する。これでは子どものアイデンティティは確立できない。
 ・じゃあ、生地主義を採って日本の国籍を与えればいいという批判があるかもし
  れない。しかし、生地主義も大きな問題点を抱えている。それは、不法移民で
  すら日本で子どもを産めば、その子どもは日本国籍を取得できるということ。
  このような権利があると更に不法移民は増える。
 ・これが実際にアメリカのカリフォルニア州で起こり、結果として住民投票で
  『提案
189』が支持され、不法移民の子に学校教育を受けさせないことになっ
  てしまった。

 ・更には、移民を受け入れると、女性や高齢者の社会進出に対しての議論がない
  がしろになる可能性がある。特に、女性の就業率と出生率には正の相関がある
  と、内閣府経済社会総合研究所主任研究官の林伴子は述べている。

・つまり、子どもに国籍を与えないとアイデンティティの確立ができない。だか
  らと言って、子どもに国籍を与えると、不法滞在者に正当な権利を与えること
  になり不法滞在者を増やしてしまうことになる。すると、不法滞在者の多い地
  域では差別的な政策が採られる。また、更には犯罪が増加する。それにより治
  安の悪化や社会的不安が増大する。

 ・また、多方面では女性の就業率と出生率に正の相関が見られるなか、移民の受
  け入れにより女性の社会進出が遅れる。それにより出生率が減少していく。

  ・これらのことから、私たちは移民受け入れを反対します。

★けっとうしゅぎ【血統主義】

 出生による国籍の取得に関して、子の生まれた場所がどこの国であろうとも、父
 または母の国籍を与えるという考え方。日本の国籍法はこの主義を採用。
  → 出生地主義

★せいちしゅぎ【生地主義】

 出生による国籍の取得に関して、父母の国籍を問わず、子の出生地の国籍を与え
 るという主義。生地主義。
→ 血統主義