「ゆとり教育」肯定派
  
  4年:吉田恵美里・平野千夏伊藤航也
  3年:飯沼美和覚正一寛
  2年:内田将士久保田紋子・原田夏子


立論
 ゆとり教育は、教育のあるべき方向を目指していると考えます。なぜなら、課題発見・解決能力や、他者との共生を前提にして、自分の幸福追求ができる基本姿勢、つまり文部科学省の言うところの「生きる力」は、まさに21世紀に必要なものであり、今までの画一的・功利的な教育によっては、育てにくいと考えるからです。

戦後の教育問題の歴史最大の問題は「教育の目標喪失」
 (1)高度成長期
  目標:教育の量的拡大による機会均等と平均水準の向上
  背景:経済発展のための人材育成
   ⇒ 時代と社会に教育目標が適合/画一的・功利的な教育の大衆化
 (2)経済成長低迷期:1974年第1次オイルショック
  目標:豊かな人間性や社会性、「心を育む」教育
     「今後における教育のあり方として、<ゆとり>の中で、子供達に<生きる力>を育んでいくことが
      基本である」(1996年7月、中央教育審議会答申)
  背景:高度成長期下における画一的・功利的な教育の大衆化は、社会の価値観の変化により、子供の
     人間性や社会性の健全な発達を阻害し、構内暴力・いじめ・不登校などの教育の荒廃を生み出した。
  要因:社会全体の変化による価値観の変化
    ・欧米以上の高度な消費社会になって、欧米に追いつき追い越せという時代の目標の喪失
    ・都市化や核家族化などによる、地域や家族の結びつきの変化
   ⇒ 受験戦争や偏差値教育への疑問

表:クラスの人気者
勉強のできる人 正義感の強い人 ユーモアのある人
日本 5.2% 3.5% 62.9%
米国 19.5 8.2 87.6
中国 30.8 30.7 17.6

   *学歴社会批判
      日本は学歴を重視しすぎる学歴社会である。現実の企業社会は学歴にこだわらない実力主義に
     変化してきているのに、親の意識が送れている。学歴を身につけても幸せになれるとは限らないの
     だから、親も教師も子供の適性をもっと考えて進路を選択させるべきである。「ゆとり教
    育」における
生きる力を学ぶことで、国民の意識が変わることが必要である。
   *受験競争批判
      学校教育が受験のための詰め込み教育になっている。過度の受験競争が子供達を追い詰めて
     いる。受験競争が子供達の競争をあおり、人間関係をいびつにしている。受験のために塾通いに
     おわれ、いまの子供達は時間のゆとりも心のゆとりもない。大学入試や高校入試が教育のあり方
     をゆがめている。大学入試が変わらなければ、受験競争はなくならない。だからこそ、
    「ゆとり教育」や
完全五日制における余暇や総合的な学習などの、生きる力の育成が
    大切である。


まとめ
 社会全体の変化を背景として、わが国の教育が目標を見失ったために、教育問題が複雑化した。つまり、「ゆとり教育」問題があるのではなく、最大の問題は日本独自の要因、日本の教育の目標喪失にある。それを見つけ出すためには、「ゆとり教育」における学校選択の自由の拡大によって、学校の自己責任、学校や教師に緊張感を伴う組織の競争原理を生み出し、子供達に「生きる力」を育む必要がある。

<参考文献・資料>
 大森富士夫『「ゆとり教育」亡国論』PHP、2000年
 小松夏樹『ゆとり教育崩壊』中公新書、2002年
 文部科学省 ホームページ

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「ゆとり教育」否定派 

  4年:斉藤明木下玲亜
  3年:本田武彦芦名絵里香・七戸理恵
  2年:石田洋子程田裕平・犬飼敏


「ゆとり」教育の現状
 「ゆとり」教育の目的は、土曜・日曜を利用して、子供達の教育に「ゆとり」をもたらすことにある。しかし、授業時間が減ってしまったため、その休みを利用して塾に通うこどもが増えてしまった。また、総合的学習に成功している学校もあるが、土曜・日曜の休みに何をしてよいか分からない学校もあり、学校自体に格差が生じている。学力の低下も問題になっている。

立論
 「ゆとり」教育をはじめてから、国民の意見の中にも様々な疑問や不安が生じた。授業時間数を減らして、町のごみ拾いや近くの保育園で絵本読みをしたりすることが普通の授業をやめてすることなのかと疑問に思う人や、「読み書き・計算」という基礎知識や反復練習などが不足してしまうため、基礎学力が低下するなどの不安もでてきている。

私たちの意見
 ・文部科学省が言っている「ゆとり」「生きる力」というものは、そもそも定義できない曖昧な概念である。
 ・授業時間、授業内容の削減によって、公立校と私立校に格差が生じてしまう。
 ・日本がいま進めている「ゆとり」教育は、アメリカですでに失敗している「子供中心主義」教育
  そのものである。

 ・授業時間の削減により、結局、塾に行く子供が増える。これが「ゆとり」教育とは言えない。

尋問
 1:文部科学省などの混乱があり、教育制度の基礎が整っていないのに、いま「ゆとり」教育を
   行なう必要はある
のか?。これは、混乱や不安を募らせるだけではないのか?。
 2:「生きる力」は数値化、評価できるか?。