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  2006年11月号  
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    [10面]  
 

経済学部国際経済学科 海外特別研修

   
 

盛りだくさんのメニューで2展開

   
 

 経済社会の特質や諸問題を、海外研修を通して学ぶ、経済学部国際経済学科の「海外特別研修」は、本年度2展開で行われた。飯沼健子助教授指導で10人が参加したラオス、タイ訪問(8月2日〜11日)と永島剛講師指導による初のイギリス訪問(7人参加、8月29日〜9月6日)。前期授業での準備を経て、両訪問とも盛りだくさんの「研修メニュー」をこなし、後期授業では成果報告を行う。さてどんな研修となったのか―。両先生と参加学生から話を聞いた。

 

ラオス
タイ

▲村民に囲まれてバシー儀式で歓迎される学生達

村落滞在 熱い歓迎に感激

 今年で2回目のラオス、タイ特別研修は、発展途上国の農村と都市が抱える開発問題がテーマ。

 社会主義体制から市場経済への移行を推進中のラオスは、東南アジアの地域統合の渦中にある。研修では、体制移行や国際状況の変化がもたらす経済社会の変容の中にあるラオスの「今」と人々の暮らしを学んだ。

 ラオスでは食品加工、縫製など国営、民営の工場や開発事業の視察、政府、援助機関の訪問、国際機関、NGOプロジェクト見学、農村でのホームステイ、ラオス国立大学訪問で現地青少年との交流も行った。また首都ビエンチャンでは「ラオス文化の夕べ」が催され、若者による伝統舞踊を楽しんだ。その模様は同国を代表する英字紙「Vientiane Times」の紙面を飾った。

▲小学校を訪問して子供たちに歓迎される
▲村人へのお礼に記念植樹

 タイにおいても農村の外国投資による工場、都市部のスラム、貧困撲滅政策を支援している国連開発計画(UNDP)タイ事務所を訪問した。一行は行く先々で盛大な歓迎を受けた。ハイライトは、ビエンチャンから40キロのナムスアン地区の村落滞在だ。素朴な村の人々から心のこもった歓迎を受け、とっておきの伝統料理でもてなされた。漁業や機織りなど地場産業を見学したほか幸運を祈る伝統的なバシー儀式体験や小学校訪問も。

 「子供たちと追いかけっこを楽しんだ」「徹夜でラオス語を教えてもらった」……と言葉の壁を越えて村人たちと交流。インフラ整備が進んでおらず、都市と村落の生活の差を感じたものの「ラオスの国に流れる、ゆったりとした空気は、国民一人ひとりから来ていると実感した」(小野寺あずささん・3年)という。

 飯沼助教授は「変化の激しい発展途上地域を、一面に偏らず総合的に見て理解することが大切。五感を使って現地の生活を実感したことで、研修が『自分のもの』になったのでは。多くの体験を後期の研究に生かしてほしい」と期待している。

 

 

 

 

 

イギリス

地下鉄に乗って「街」を見る

▲レディング大学を訪ねて、レディング駅での一行
▲英国HONDA社で

 イギリス経済の盛衰、ポスト工業化社会をテーマにしたイギリス特別研修は、本年度が初。「まずは型にはまらない研修を。歩いて見て感じたものを、知識に生かしてほしい」という永島講師の意向で、個人の研究テーマに沿い、比較的自由な関心に基づく研修となった。

 日系企業の英国HONDA社の自動車組立工場(スウィンドン)の訪問、再開発で生まれ変わったロンドン市内ドッグランドの街並み視察、オックスフォード大学や本学客員教授の協力で協定校の訪問も行った。団体での旅行ではあったが、「将来一人でも行動出来るよう」(永島講師)、移動は公共交通機関が基本。切符は自分で苦労しながら買い、地図片手に目的地へ向かっての視察活動だった。

 「ロンドンに進出した『ユニクロ』を訪ねた」「書店でバイトをしているのでイギリスの書店を見学した」など、日本の店舗と比較する小売店調査をした学生もいた。

 イギリスは、ほとんどの学生が初めての訪問。伝統の奥深さを実感する一方、バスや地下鉄に乗り庶民の生活から多民族、階級社会の一端を見て、多面的なイギリス社会を体感したようだ。

 昨年はラオス、タイに、今年はイギリスへと特別研修を2回体験した竹本美帆さん(3年)は「個性の違う両研修を体験したことで、留学希望がますます強くなった。英国HONDA社見学は、あらかじめ日本の工場を見学した上で訪問したので、日英における比較が出来た。前期で準備したことを実際の研修によって身につける。理想的な海外研究が出来る授業だと思う」と話している。

 

 
 

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