室井ゼミナール論文集:第16号


  はしがき

 本論文集は、1998年度室井ゼミナール2年次生の進級論文集である。諸般の事情から、刊行が大幅に遅れてしまった。1996年に発足した国際経済学科は、今年で4年目を迎える。新設後の4年間の移行期間を過ぎると文部省の規制が緩和され、比較的自由に学科の運営を行なうことができるようになる。そこで、過去の経験を活かしながらカリキュラムの改正に取り組んだのであるが、これがなかなか大変な仕事で、進級論文をのんびり読んでいる時間がなくなってしまったのである。
 本論文集に収めた第14期生13名の進級論文のテーマは、「海洋について」「環境ホルモン問題」「ギャンブル」「ダイエット」「カウンセリング」「民族音楽の日韓比較」「にほんご・こくご」「ジャーナリズム」「ベトナム戦争」「死刑制度について考える」「My バルセロナ滞在記」「天皇制について考える」「基地の島・沖縄」である。
 狭い意味での経済学に関するテーマが見当たらないが、現代の若者の関心がどの辺にあるのか、それを物語っているように思う。経済学を学んできた者にとっては複雑な気持ちも刷るが、ひるがえって考えれば、私の学生時代の関心事も、<経済>ではなく<社会>そのものであった。いずれにせよ、自分が最も関心を抱くあるテーマに対して、深い洞察を加えるその作業こそが大切なのである。
 なお、第15期生14名の「ゼミ応募論文」も収録したが、初心を忘れずに、自分なりの問題関心を大きく育てていくようにして欲しい。

               1999年5月20日  室井 義雄


          Cowrie Shell Money, Nigeria


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