室井ゼミナール論文集:第13号


  はしがき

 本論文集は、1997年度室井ゼミナール第13期生の2年次進級論文集である。諸般の事情から、刊行が大幅に遅れてしまった。3月中旬から4月上旬にかけて、外務省海外公報課の依頼により、"Japan-Nigeria Economic Relation" というテーマでナイジェリアのラゴス、ジョス両市で講演を行ない、その準備に忙しかったことと、1人のゼミ生が論文を提出せず、全部出揃ってから編集作業に取りかかろうと、私がつむじを曲げていたからである。責任の大半は私にあるが、半年も前に原稿を提出した諸君には申し訳ないと思っている。
 毎回、ゼミ生の書いた原稿には全部目を通し、主語・述語関係や句読点に至るまで訂正し、多くの場合には真っ赤にして返却している。40人近くのゼミ生を抱えていると、この作業が結構大変なのである。だが、入ゼミ以来の度重なる日本語チェックが功を奏してか、何人かのゼミ生は、訂正をほとんど必要としないまでに文章力をつけている。
 論文の内容も、みな、なかなか面白い。「ハワイ」「言葉について」「多重人格」「ストリートチルドレン」「発展・開発進歩とは何か」「男女間賃金格差」「海外への手助け求められる援助」「外国人労働者問題」「フェミニズム運動の歴史とこれから」「常識という概念」「原発を考える」「広告を考える」「ボディとウシ」<世界>と<日本>、そして最終的には<自己>について、各自が多様な切り口から考察している。各自、他のゼミ生の論文も読んで、自分の問題関心と比べてみるとよいと思う。
 また、1年次生の「ゼミ応募論文」と「春合宿の感想・私の理想のゼミ像」も、新鮮な期待と不安に溢れた文章でなかなかよい。初心を忘れずに、自分なりの問題関心を大きく育てていくように。

               1998年7月1日  室井 義雄


           Cowrie Shell Money, Nigeria


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