室井ゼミナール論文集:第11号


   はしがき

  1995年の夏に1年間のナイジェリア留学を終えて帰国し、翌96年の4月からゼミナールを再開した。私のゼミナールの第1期生は1985年に卒業しており、以後、94年卒業の第10期生まで、合計84名が社会に巣立った。1996年から始まる現在のゼミナールは、いわば「第II期室井ゼミ」である。この論文集は、1996年度室井ゼミ2・3年次生22名の進級論文と、1年次生14名のゼミ応募論文を編纂したものである。
 ゼミナールの統一テーマは、「現代世界経済・第三世界・日本社会」である。第三世界の歴史と現状を中心に学んでいるが、第三世界はまさに現代世界のただ中において考察すべきであるし、また、外国研究の到達点は、実は日本社会を省みることにあるという意味合いを込めて、かなり幅の広い統一テーマを設定している。というよりはむしろ、過去のゼミ生の個人論文のテーマがそのような広がりをもっていたのであり、現在の統一テーマは、過去のゼミ活動の蓄積からそれとなく決まってきたのである。
 第II期ゼミ生の進級論文のテーマもまた、非常に幅広くかつユニークである。一見、バラバラで無原則のようであるが、しかし、各々が現代世界と日本を見据えつつ、濃淡の差はあれ、最終的には自己の存在理由を問題にしている。多少の費用がかかっても、一冊の論文集に纏めてみたいと思った所以である。また、1年次生のゼミ応募論文は、いずれも新鮮な知的欲求に満ち溢れたものであり、初心を忘れずに暖めておいて欲しいという願いから掲載することにした。

              1997年7月14日  室井 義雄


           Cowrie Shell Money, Nigeria


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