私の留学 イギリス編

                         W10 加瀬 貴

留学期間:2000年6月から2001年1月まで
留学地:英国 ブリストル大学
留学費用:約100万円

  University Hall編
 ブリストルでは初めて寮生活をした。私は前半にUniversuty Hall、後半はManor Hallに住んだ。UHでは五人一組で共同生活をして、各人が一人部屋を持ち、キッチンとトイレ、シャワーが共同だった。この寮はSelf-Catering形式の寮だったので、ご飯は自分で作ったいた。寮のなかにバーがあり、毎日10時半くらいまで営業していて、夜になると寮生が集まり、一杯飲みながら色々な話をした。
 しかしこの寮には最大の欠点があった。それは大学からとてつもなく遠いことだ。歩いて1時間近くかかる。またスーパーも歩いて40分くらいかかる。おかげで歩くことはだいぶ慣れた気がする。

  Manor Hall編
  10月からはManor Hallに滞在した。この寮は大学から歩いて10分くらいの距離にあり、また繁華街にも近かったので、とても便利だった。ここはかなり古い寮で前は墓地だったとか精神病院だったとか噂があり、かなり不気味な寮だ。実際、寮のすぐ裏には古びた墓地があり、かなり怖い。
 しかしながら、英国風の部屋でおそらくあんな所に住めるのは一生ないだろうと思い、かなり気に入っていた。この寮では季節のイベント毎にパーティーがあって、私はクリスマスフォーマルに参加した。服は基本的に男は蝶ネクタイとスーツ(いわゆるジェントルマンルック)女性はドレスでかなり気取って参加する。日本ではなかなかこのような経験はないので自分もなりきった。イギリス文化を体験できたいい機会だった。

  語学学校編
 6月26日から、大学にある語学学校で3ヶ月間英語の授業を受けた。内容は主に英語論文の書き方についてで、会話の授業と言うよりは、もっとアカデミックな感じだった。授業の時間は朝の九時から夕方の3時半までとかなり長い。もちろん先生は日本語は話せず、英語のみで、最初は何を言っているのかよくわからず、苦労の連続だった。特に文法の授業では、現在完了や不定詞など文法の主なものを一通り習ったのだが、私は形容詞や過去分詞など文法に関する英単語がわからず、答えはわかるのだが、単語が分からず苦労した(例 現在完了→present perfect, 過去分詞→past participle) 。論文の授業では幸運にも私の担任がとても教え方のうまい先生でかなり理解できた。イギリスの論文はアメリカの論文に比べるとかなりルールが厳しく、こういった面でもイギリスの国風が出ている気がして興味が湧いたのを覚えている。
 また毎週木曜日の午後は大学の教授や代議士さらにBBCのプロデューサー(ブリストルにはBBCの地方局があるので)などが1時間半の講義を行い、それについてノートを取るという時間があり、ここで感じたことは英語を聞き取る難しさと聞きやすさは本当に話し方によるというとだ。何人かのプレゼンターは本当に聞きにくくほとんどわからない事もあった。逆にBBCのプレゼンターはとても講義がうまくまた話し方もとても丁寧でおもしろかった。また、私のクラスは12人でクラスはイタリア人、ギリシャ人、ヴェネゼエラ人、台湾人、日本人で構成されており、互いの文化や国のことについて、ディスカッションやプレゼンテーションをやる時間があり、異文化に触れることが出来たと思う。

  大学編
 大学の授業が始まったのは、10月からで、これは私にとってかなり厳しいものだった。私は3教科と英語を履修したのだが、すべてのクラスにおいて、日本人はもとより、ノンネイティブは私だけで、英語がわからないので、明らかに自分の方が彼らより劣っていることがいやでも実感させられてかなり、憂鬱になったときもあった。日本ではもちろんこのような経験はしたことがなく、どん底を味わった気がする(今考えるとこの経験が一番私を成長させたかもしれない)

 アフリカンヒストリー
 
特にアフリカの授業では、ディスカッションだけだったので、かなり大変だった。毎回授業のおわりにグループ討論の時間があり、イギリス人と三人一組になり、討論をするのだが、彼らの英語は本当に難しく彼らが何を言っているのかわからず一言も発言できない時もあった(一度、教授に指されていきなり発言させられたのだが、混乱と緊張のせいでかなり支離滅裂なことを言ってしまい、とても恥ずかしかった。この時、授業のすぐ後に室井先生に電話をしてかなり慰めてもらったのを今でも鮮明に残っている)。
 授業の内容はアフリカの植民地についてであり、室井ゼミの討論のように、知識だけでなく各々の意見に重点を置くという感じではまったくなく、知識を問われることがほとんどだった。このためにアフリカの予習だけでかなりの時間を取られて、今考えると一番力を入れた授業だ。今でも一番覚えているのは、『アフリカ分割の効果』についての討論で、教授の質問が「アフリカ分割はヨーロッパとアフリカにどのような良い影響をおよぼしたか」そしてこれに対して、ある学生は「アフリカにcivilization(文明化)をもたらした」と言い、これを聞いた時私はかなり愕然とした。なぜならもし室井ゼミで同じテーマで討論をしたらこのような意見はなかなかでにくいと思ったからだ。これはかなり個人的な意見だか植民地化は絶対悪であるという風潮があると思うからだ。さらに教授の質問も明らかにアフリカ主体というよりも植民地化を擁護するものだと思った。
 しかしながら、逆に考えると、旧宗主国の筆頭であったイギリスの人達の意見を聞けて、このこと自体が留学の醍醐味であり、留学してよかったと感じた。


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