経済学部長挨拶



 さまざまな学業支援体制を活用してほしい

室井 義雄
経済学部長
室井 義雄

 ご父母・保護者の皆様のなかには、専修大学とはどのような大学なのだろうか、子どもたちは何を学んでいるのだろうかと、一抹の不安を持たれている方もいらっしゃるかも知れません。そこで、本学における学業について、簡単にご説明してみたいと存じます。

 歴史的にみますと、大学、Universityの語源は、ラテン語のUniverseに由来していますが、このUniverseという言葉は、「宇宙・全人類・普遍・博識・自在」などという、実に様々な意味合いを含んでいます。ここから転じて、大学というのは「学問の共同体」である、ということになります。つまり、大学教師が一方的に講義し、学生がただ漫然とそれを聞いているというのではなくて、教師と学生の両者が「主体的」に参加してこそ初めて成立する知的な共同空間である、ということになります。学生の皆さんたちは、自らの責任において様々な調査・研究活動を行なわねばなりません。これが、大学における学業の基本原則になります。

 このような意味では、ご父母・保護者の皆様の財政的負担が大きいことは重々承知の上でございますが、可能な限り、ご子息のアルバイトは最低限に留めて、それぞれの学問に専念できるようにしていただければ幸いに存じます。「知的好奇心」を持ち続けて自分から学んでいく、この地道な姿勢がとても大切になります。そうした努力の積み重ねが、卒業する時に、自らの希望する仕事・会社に就職できる最短距離にもなります。

 もう一つ、大学生活で大切なことは、そもそも自分は何者なのだろうか、何処に歩もうとしているのかという、いわば「自分探し」の旅に出ていただきたい、ということです。大学の4年間、時間は充分にあります。これから生きて行く長い人生に向けて、自分を見失うことなく、自分自身の確固たる価値観・思想を身に付けていただきたいと思います。

 専修大学は、「社会知性の開発」というキャッチ・コピーを掲げていますが、市民社会、つまり「自律した個人の連合体」という意味での市民社会における、理性ある市民として、本学の学生が育って欲しいという願いを込めてあります。ご父母のほうから、「社会知性とは何なの?」とご子息にお聞きになってみてください。それなりの答えが返ってくれば、大丈夫でしょう。

 さて、少し実務的な話しになりますが、専修大学ではさまざまな学業支援体制を整えております。その一つが、「導入教育の重視」「一年次のクラス担任制」でございます。本学に入学後できるだけ早い時期に、先ほど述べた「学問共同体」の一員としての自覚を持ち、また大学生活に慣れていただきたいと思います。「入門ゼミナール」など少人数の講義科目を展開し、また専任教員がクラス担任として、さまざまな相談に対応しています。

 第二に、本学では、各種・多数の海外留学プログラムを展開しております。世界の13カ国19大学と国際交流協定を結び、本学の多くの学生が海外に出かけ、また海外から学生を受け入れています。ご承知とは思いますが、本学は、米国に派遣された相馬永胤、田尻稲次郎、目賀田種太郎、および駒井重格の4人の国費留学生によって、1880年(明治13年)に創設されたという歴史を持っております。その長い伝統を生かして、大学として字義通りUniversalな展開を行なっています。海外に出かけたご子息は、予想以上に大きく成長して帰国されます。こうした留学制度を充分にご活用していただければ幸いに存じます。

 第三に、本学では、正規の学部教育を補完し、また将来の就職活動に向けた教育として、これも各種・多数の課外講座プログラムを展開しています。もちろん、正規の授業科目を充分に修得した上での話しでございますが、こうした課外講座も上手に活用されて、多様な「知的基礎体力」を養っていただきたいと思います。

 ともあれ、ご子息をお預かりした以上、われわれ専修大学は、ご子息が素晴らしい学生・立派な市民として、これまで以上に成長されるように、法人役員・教職員一同が全力を尽くす所存でございます。ご理解・ご協力のほど、何とぞ宜しくお願い申し上げます。



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