はしがき
ナイジェリア留学後、1996年4月から再開したゼミナールを「第II期室井ゼミ」と呼んでいる。この第II期ゼミナールは、第
I 期のそれと比べて何か違いはあるのだろうか。
いま、第 I 期ゼミナール最後の、第10期生13人の卒業論文のテーマを思い出してみると、現代人の精神構造に関するものが3名、環境問題・差別問題・福祉問題が各々2名、そして、華僑・アフリカ・ユダヤ民族・日本農業に関するものが各々1名であった。
今回の卒業論文集に収録した第11期生9名のテーマは、現代人の精神構造に関するものが4名(「愛力」「情報化社会を生きる」「深層心理」「人間の幸せとは―日本で働く人を考える」)、日本経済に関するものが2名(「The
Convenience Store」「クレジットカード問題」)、および、「1960年代のアメリカ黒人社会」「客家」「欧州統合と単一通貨ユーロ誕生」が各々1名である。
もちろん、各人の問題意識や問題に対するアプローチの仕方には違いがあるが、いずれも、最終的には現代社会・経済の<病理>を解明しようとしている点で、私のゼミナールの伝統を暗黙のうちに継承しているように思える。そして、いずれも自分自身の言葉で、何らかの形で自分自身の問題に引きつけて方っているのも、第
I 期のゼミと通底しているように思える。自己の世界観・価値観を確立すること、これが我がゼミの課題である。
1998年1月13日 室井 義雄
1997年12月:ゼミ室にて
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